私は10代のころから、海外での生活に憧れ、学校での英語を必死で勉強していましたが、大学進学をきっかけに、これから発展し、世界で一番多くの人々が話す中国語を学んでみようと思い、大学で中国語を専攻していました。私なりに色んな経験や勉強から、中国人の定義のようなものが自分の中で出来上がっていましたが、加藤徹著「貝と羊の中国人」を読み、なるほど!だから、中国人はこうだったんだ!と理解できたことが数多くありました。この本は、歴史的観点から、史実をもとに、非常に分かりやすく書かれており、今後中国人と付き合っていかなくてはならない、私たちにとっては、とても参考になる書です。
作者は、人は父と母の出会いから生まれる。民族の誕生も同じである。世界の文明国の歴史をさかのぼると、大昔に2つの異質な集団がぶつかり合ったのが起源、という例が多い。そして中国人の祖型は、今から3千年前「殷」と「周」という二つの民族集団がぶつかりあって出来たと説明しています。
殷:殷人の本拠地は豊かな東方の地。農耕民族であり、目に見える財貨を重んじていた。まだ金属貨幣が存在しなかった当時、貨幣として使われていたのは、「子安貝」だった。 有形の財物に関わる漢字、寳(宝の旧字体)、財、貨、貴、貯、買、貰などに「貝」が含まれるのは、殷人の気質の名残である。宗教は多神教。殷人は自分たちの王朝を(商)とも呼んだ。これが「商人」の起源とも言われている。
周:遊牧民的な気質があった。周人は羊と縁が深かった。宗教は一神教。天は物質的な貢ぎ物よりも、善や義や儀などの無形の善行を好む。義、美、善、儀、議、羨、...など、無形の良いことにかかわる漢字には「羊」が含まれるのは、周人の気質の名残である。
一般的に、農耕民族は、地面から雑草や樹木や虫など生命がどんどん湧いてくる自然環境に住んでいるため、地域密着型の多神教になりやすい。一方、大草原や砂漠地帯を移動しながら暮らす遊牧民族は空から大きな力が降ってくるという普遍的な一神教を持ちやすいといわれています。
現代の中国人は、この太古の2つの先祖から、ホンネとしての貝の文化とタテマエとしての羊の文化の、両方を受け継いでいます。全く異なるこの2つを使い分けることが出来るところに、中国人の強みがあります。華僑の商才に象徴される中国人の現実主義は、「貝」であり、儒教や共産主義に象徴される中国人の熱烈なイデオロギー性は、「羊」なのです。これは中国人ならではで、この2つの使い分けは、旧ソビエト連邦の共産党や北朝鮮の労働党には無理なのです。
2005年の「反日暴動」においても、貝と羊の使い分けがされたと例を挙げています。
<政府の愛国教育は「羊」。日本と経済関係は維持したいというホンネは「貝」。中国政府は頃合いを見計らって、「デモ意外にも愛国心を表現する方法はいくらでもある」と愛国主義の旗を振りつつ、実際には反日デモを沈めた。民衆の方も、風向きが変わったと感じたとたん、ピタリと反日デモを止めた。三千年にもわたり、貝と羊の両方を使い分けてきた中国人ならではの、阿吽の呼吸である。>
以上参考文献:「貝と羊の中国人」
こうした2つの文化の違いを理解することは、とても重要なことです。こうした二面性を持ち合わせていることを理解していないと、本当の中国、中国人を理解することは出来ないと思いました。私個人的な意見としては、現代の中国人は、貝の文化的な中国人が多いような気がしますが。まずは、この二つの文化の特性をふまえ、次回は、さらに分かりやすく中国人の特性を紹介していきたいと思います。


コメントする